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医院ブログ

エナメル質形成不全について

小児歯科治療
こんにちは。院長の松本です。
今回はエナメル質形成不全についてお話させていただきたいと思います。

今の時期は幼稚園や学校で歯科検診が行われる時期ですね。そのためか学校の歯科検診等でエナメル質形成不全を指摘されて当院に御相談にくるケースが多い季節です。
歯は、口の中に生えてくる頭(歯冠)の部分と、根っこ(歯根)の部分から成り立っており、その歯冠の表面を覆っているのがエナメル質で非常に硬い組織です。

エナメル質形成不全には大きく分けて2つのタイプがあります。
ひとつをエナメル質減形成、もうひとつをエナメル質石灰化不全と言います。

エナメル質減形成とは、エナメル質の厚さが通常より薄くなっていたり、部分的に欠けていたりするようなものを言います。
そして、白濁・白斑や黄斑、褐色斑など石灰化の異常(歯の質の異常)がみられるものをエナメル質石灰化不全といいます。

では、原因は何なのでしょうか。
エナメル質の形成不全は、遺伝性の病気、または歯の形成期に生じる何らかの原因で起こると言われています。
遺伝性のエナメル質形成不全症では、乳歯および永久歯のすべての歯に形成不全が起こりますが、これはかなり稀です。
一方、歯が形成される時期に何らかの問題が起こることにより歯の形成不全が生じることがあります。
これは全身的な原因で起こることもあれば、局所的な原因で起こることもあります。

○ 全身的な要因
胎児期、つまり母親の妊娠期に何らかの全身的障害(例えば、母体の栄養障害、病気、内分泌異常、感染、代 謝異常、特定薬物の長期継続投与、ホルモン異常、ビ タミン不足など)で歯の形成、成長が一時的に阻害されることにより、エナメル質形成不全が起こります。
エナメル質形成不全が、全身的な原因による時は、1本 だけではなく、複数の歯に症状が出てくることが多いで す。多くの場合は、左右対称に現れると言われています。

○ 局所的な要因
乳歯に外傷を受けた場合、乳歯のむし歯が大きく長期間化膿状態であった場合、後続する永久歯に影響が出て、エナメル質形成不全が見られる事があります。
1~2歯に限局し、左右対称に認められることは少ないです。
また、早産・低出生体重児には歯の形成不全が多くみられるという報告もありますが、このようなお子さんは、出生直後の栄養状態や全身状態が不良になりやすいためだと考えられています。

では、エナメル質形成不全である歯はどのような点で困るのでしょうか?
見た目を気にされる親御さんもいらっしゃるかとは思いますが、見た目だけではありません。
それは、むし歯になりやすいということです。
エナメル質形成不全の歯は、歯質が一部欠けていたり灰化が不十分なため、その部分はやはり他に比べ、とても弱くなっています。
よって、むし歯になるリスクが高く、また、一旦むし歯になると進行が速いと言われています。
形成不全が軽度な場合は、歯みがきやおやつ・飲み物などに気をつけ、フッ素を活用して、むし歯予防を図りながらそのまま経過をみていくことが多いのですが、歯が大きく欠けている場合や歯自体が脆くなっている場合は、治療が必要になることもあります。
治療が必要かどうかの判断は難しいところもありますので、この点に関しましては是非ご相談くださいね。
また、乳歯に形成不全があると、生え変わってくる永久歯も同じく形成不全不全になるのでは?と考える親御さんもいらっしゃるかと思いますが、乳歯の形成不全の原因はそのまま永久歯の形成不全につながるものではありません。
ただ、もし永久歯でも形成不全がみられた場合は、審美的な面も含めて歯の色や形を回復する治療が必要になることが多くなると思います。

エナメル質形成不全症という診断を受けても悲観することはありません。適切に予防していけば大丈夫です。
毎日の適切な歯磨きと、歯科医院での定期的な高濃度フッ素塗布で十分に予防可能です。

定期的に歯のチェックやフッ素塗布を受けながら、永久歯の生え換わりも含めて相談していただけたらと思います。